▶ 訪れる校舎
とうとう今日からこの学校が職場になる。というのに、春休みに出会った少女の事がまだ気になっていた。もしもあの時呼び止めていたら、追いかけていたらどうなっていただろう―そんな思いをひっそりと抱えながら。初日からドジをやらかさないように気を引き締めて行かないと、そうやや緊張した面持ちで校舎へ入って行ったのだけれど――早速問題が発生。困った、目的の教室の場所がわからない。予め事務員に聞いておけば良かったなんて後悔しても遅かった。時間もあまりないし、仕方がない。あそこにいる生徒に聞く事にしよう。
▶ 向かえる新学期
とうとう今日から受験生になる。進路への不安を抱えながらも、心は他のことで一杯だった。春休みに出会った彼を思い出す度に、胸の鼓動は早くなる。出来る事ならまた会いたい――そんな風に、どこか上の空のまま廊下を歩いてれば、突然声を掛けられた。どうやら道を教えて欲しいらしい。振り返るとそこには――
「あっ、あなたは!」「えっ…君は…!!」
まさか、こんなところで出会うなんて!春休み、少女漫画のような出会いを果たした二人の男女は、今度は学校という場所で、教師と生徒という立場で、再び巡り逢う。
